私たちは毎日「ことば」を使ってコミュニケーションをとっていますが、その発音や語感が人間の感性や脳にどんな影響を与えているか、ご存知でしょうか?
今回ご紹介するのは、人工知能研究者であり、コミュニケーションサイエンスの新領域を切り開いている黒川伊保子さんです。
黒川伊保子さんは、著書やNHKラジオ番組で、発音が人間関係やコミュニケーションの問題に及ぼす驚くべき効果や、それを解決するための具体的な方法をわかりやすく解説しています。
この記事では、黒川伊保子さんの研究内容やメッセージから、人間関係の“トリセツ”を学びましょう。
コミュニケーションサイエンスについて
先ず初めに、コミュニケーションサイエンスという学問についてお話ししたいと思います。コミュニケーションサイエンスとは、一体どんな学問なのでしょうか?
コミュニケーションサイエンスとは
コミュニケーションサイエンスとは、人と人がどのように話したり、メッセージを伝えたり、意味を作ったりするかを研究する学問です。
私たちは、毎日さまざまな人とコミュニケーションをとっていますよね。家族や友人、恋人や同僚、先生やお客さんなどなど。コミュニケーションは、私たちの感情や思考、行動や関係に大きく影響します。コミュニケーションがうまくいけば、幸せや満足を感じたり、信頼や協力を得たり、知識や情報を得たりできます。逆に、コミュニケーションがうまくいかなければ、不安や不満を感じたり、対立や孤立を招いたり、誤解や偏見を生んだりすることもあります。
コミュニケーションは、私たちの日常生活や社会に欠かせないものです。しかし、コミュニケーションは決して簡単なことではありません。
コミュニケーションには、言語や非言語的な手段だけでなく、文化や歴史、環境や状況、個性や目的など様々な要素が関わっています。それぞれの要素がどのようにコミュニケーションに影響するのか、またそれらの要素がどのように変化してきたのかを理解することは、私たちにとって有益です。
コミュニケーションサイエンスは、このようなコミュニケーションの過程を扱う学問です。
歴史
コミュニケーションサイエンスは、古代から現代まで、様々な分野や手法から影響を受けて発展してきました。
- 古代:ギリシアやローマで修辞学が発展し、雄弁や説得の技術として教育される。
- 中世~ルネサンス:文法学、修辞学、論理学からなる三学(トリウィウム)がヨーロッパの学習体系の基礎となる。
- 20世紀初頭:アメリカでスピーチや古典的な修辞学を教えるプログラムが発展し、コミュニケーションサイエンスの前身となる。
- 1948年:クロード・シャノンが「通信の数学的理論」を発表し、情報理論と伝達モデルを提唱する。
- 1970年代:ジェイムズ・W・ケアリーが儀式モデルを提唱し、コミュニケーションを意味のある人間関係やコミュニティの形成として捉える
研究方法
コミュニケーションサイエンスの研究方法には、実験法、調査法、分析法、評価法などがあります。
実験法 | コミュニケーションの要因や効果を操作したり観察したりします |
調査法 | コミュニケーションの現状や傾向を把握したり比較したりします |
分析法 | コミュニケーションの内容や構造を解釈したり分類したりします |
評価法 | コミュニケーションの質や効果を測定したり判断したりします |
応用例
コミュニケーションサイエンスは、様々な分野や場面で使われる学問です。
- サイエンスコミュニケーション
科学のおもしろさや科学技術をめぐる課題を人々に伝え、ともに考え、意識を高めることを目指した活動です。
公開講座、博物館、科学館、討論会、サイエンスカフェ、サイエンスアートなどがあります。 - コミュニケーション・スキル
人との関係を円滑にするために必要な話し方や聞き方などの能力です。
コミュニケーション・スキルの諸因子を階層構造に統合したENDCOREモデルや、コミュニケーション・スキルを測定する尺度であるENDCOREsなどが開発されています。 - コミュニケーション・デザイン
コミュニケーションの効果や質を向上させるために必要な情報や手段の設計です。
音声デザイン、ウェブデザイン、インタラクションデザインなどがあります。
以上は、コミュニケーションサイエンスの応用例の一部です。他にも教育、医療、ビジネス、政治などでコミュニケーションサイエンスの知識や技術が活用されています。

黒川伊保子さんの著書紹介
黒川伊保子さんは、脳科学者で感性アナリストや随筆家としても活躍する方です。脳の構造や機能の違いから、人間関係やコミュニケーションの問題を解き明かす本を多数出版されています。
トリセツシリーズ
黒川伊保子さんの著書の中でも、特に有名なのは「トリセツ」シリーズです。これは、妻や夫、母や息子など、身近な人との付き合い方を教える本です。例えば、『妻のトリセツ』は、妻のおしゃべりや不機嫌の理由を解明し、夫側からの対策をまとめた画期的な取扱説明書です。『夫のトリセツ』では、夫の沈黙や無関心の理由を解明し、妻側からの対策をまとめてあります。『母のトリセツ』を読めば、母と娘や姑と嫁との関係を改善する糸口が見えてくるでしょう。『息子のトリセツ』には、息子の成長過程や性格を理解し、母としてどう接すれば良いか知ることができます。
タイトル | 出版社 | 発売年 | 概要 | 要約 |
---|---|---|---|---|
妻のトリセツ | 講談社+α新書 | 2016年 | 妻のおしゃべりや不機嫌の理由を解明し、夫側からの対策をまとめた本 | 妻は夫に問題解決を求めていない。妻は夫に共感してもらいたいだけ。夫は妻の話を聞いて、共感のフリをすることで、妻の不機嫌や怒りを和らげることができる。 |
夫のトリセツ | 講談社+α新書 | 2017年 | 夫の沈黙や無関心の理由を解明し、妻側からの対策をまとめた本 | 夫は妻に話すことがない。夫は妻に一人にしてほしい。妻は夫の沈黙や無関心を個人的に受け取らないことで、夫のストレスを減らすことができる。 |
母のトリセツ | 扶桑社 | 2018年 | 母と娘や姑と嫁との関係を改善する方法を教える本 | 母は娘や嫁に自分と同じことを求める。母は娘や嫁に自分の存在価値を認めてほしい。娘や嫁は母の意見は聞かずに、愛だけ返すことで、母子関係に奇跡を起こすことができる。 |
息子のトリセツ | 扶桑社新書 | 2019年 | 息子の成長過程や性格を理解し、母としてどう接すれば良いかを教える本 | 息子は母に甘えたい。息子は母に自立したい。母は息子の成長段階に応じて、適切な距離感や接し方を見極めることで、息子を立派な男性に育てることができる。 |
女女問題のトリセツ | SB新書 | 2021年 | 女が女にイラつく原因とその対処法を教える本 | 女性脳は他者と繋がろうとする本能が強い。そのため、一人勝ちする美人や価値観の違う相手に対して赤信号が灯る。それがイラつく感情だ。イラつく感情は健全な証拠だが、それをうまく飼い慣らして、女の友情を全うするためのトリセツ。 |
職場のトリセツ | 時事通信出版局 | 2021年 | 職場で起こるイライラやモヤモヤを解消する方法を教える本 | 職場には様々なタイプの人がいる。その中で、自分と違う考え方や行動をする人に対してイライラやモヤモヤを感じることがある。それは、脳の認識が違うためだ。脳の認識の違いを理解し、相手の立場に立って話すことで、職場の人間関係を改善することができる。 |
恋のトリセツ | 河出書房新社 | 2021年 | 大人の恋愛における脳科学的なコツや楽しみ方を教える本 | 大人の恋愛は、若い頃の恋愛とは違う。大人の恋愛には、自分も相手も経験や価値観がある。そのため、脳科学的なコツや楽しみ方を知ることで、大人の恋愛をより充実させることができる。例えば、一生手放せない男とはどんな男か、女の最終兵器とは何かなど。 |
夫婦のトリセツ 決定版 | 講談社+α新書 | 2022年 | 新型コロナで変わった家庭環境・夫婦関係に対応する方法を教える本 | 新型コロナで家庭環境や夫婦関係が大きく変わった。その中で、夫婦間のすれ違いや不満が増えているかもしれない。それは、男女脳の違いからくるものだ。男女脳の違いを理解し、相手にイラつく前にその理由を知れば、夫婦関係も大きく変わる。60万部突破のベストセラー『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』のさらにその先へ。 |

その他
他にも、黒川伊保子さんは、『恋愛脳』『夫婦脳』『家族脳』『成熟脳 脳の本番は56歳から始まる』など、脳科学から恋愛や結婚や家族や人生について考える本も書かれています。また、『「話が通じない」の正体 共感障害という謎』は、周囲と円滑にコミュニケーションを取るための方法を提案する本です。共感障害という症状について知ることができます。
タイトル | 出版社 | 発売年 | 概要 | 要約 |
---|---|---|---|---|
恋愛脳 | 新潮社 | 2008年 | 恋愛における脳の働きや男女の違いを解説する本 | 恋愛は脳の化学反応である。恋愛において、男女の脳は異なる働きをする。男性脳は視覚的に刺激されやすく、女性脳は言葉や感情に刺激されやすい。恋愛のステージに応じて、脳内物質の分泌も変化する。恋愛を楽しむためには、自分と相手の脳の働きを知ることが大切だ。 |
夫婦脳 | 新潮社 | 2010年 | 結婚における脳の働きや男女の違いを解説する本 | 結婚は脳の成熟度で決まる。結婚において、男女の脳は異なる働きをする。男性脳は問題解決型で、女性脳は共感型である。結婚生活において、夫婦間のコミュニケーションやセックスや家事などにおいて、男女の脳の違いが影響する。結婚を続けるためには、自分と相手の脳の働きを知り、尊重し合うことが大切だ。 |
運がいいと言われる人の脳科学 | 新潮社 | 2012年 | 運を引き寄せる脳のメカニズムや方法を解説する本 | 運は自分で作るものである。運を引き寄せる人とそうでない人とでは、脳の働きが異なる。運を引き寄せる人は、ポジティブな思考や感情を持ち、自分に自信を持ち、チャンスを逃さず、行動力がある。運を引き寄せるためには、自分の脳をトレーニングし、運が良くなる習慣や行動を身につけることが大切だ。 |
家族脳 | 新潮社 | 2014年 | 家族における脳の働きや関係性を解説する本 | 家族は脳でつながっている。家族において、親子や兄弟姉妹など、それぞれの関係性に応じて、脳の働きが異なる。家族間のコミュニケーションや愛情表現や価値観などにおいて、家族の脳の違いが影響する。家族と仲良くするためには、自分と相手の脳の働きを知り、理解し合うことが大切だ。 |
成熟脳 | 新潮社 | 2016年 | 成熟した脳の特徴やメリットを解説する本 | 成熟した脳は、若い頃の脳とは異なる特徴を持つ。成熟した脳は、記憶力や判断力が低下する代わりに、感性や直感力が高まる。成熟した脳は、自分の価値観や目標を見つけ、人生を楽しむことができる。成熟した脳を活かすためには、自分の脳の特徴を知り、適切なトレーニングや生活習慣を身につけることが大切だ。 |
「話が通じない」の正体 | 新潮文庫 | 2020年(改訂版) | 共感障害という症状について説明し、周囲と円滑にコミュニケーションを取るための方法を提案する本 | 共感障害とは、他人の気持ちや考え方が理解できない症状である。共感障害者は、自分と違う人に対して話が通じないと感じる。共感障害者は、脳の認識が違うため、他人が普通にやっていることが理解できない。共感障害者と柔らかな人間関係を築くためには、相手の脳の認識を理解し、相手の立場に立って話すことが大切だ。 |
不機嫌のトリセツ | 河出新書 | 2021年 | 不機嫌な気分を解消する方法やコミュニケーションのコツを教える本 | 不機嫌な気分は、脳の働きや環境の影響で起こるものである。不機嫌な気分になると、自分も相手も不幸になる。不機嫌な気分を解消するためには、自分の脳や心をトレーニングし、ポジティブな思考や感情を持つことが大切だ。また、不機嫌な相手と上手にコミュニケーションを取るためには、相手の脳や心理状態を理解し、共感や励ましや笑顔を見せることが大切だ。 |

『女と男はすれ違う! 共感重視の「女性脳」×評価したがる「男性脳」 (ポプラ新書)』
男女のトラブルの原因や解決策を脳科学的に説明しています。
男性脳 | 女性脳 | |
男性脳と女性脳は、構造や機能に違いがあり、それが思考や行動に影響する | 左脳が発達し、結果や評価に重きを置く | 右脳と左脳の連携が良く、プロセスや共感に重きを置く |
男女の対話スタイルは真逆で、それがすれ違いを招く | 問題解決型で、結論から話し、相手を説得しようとする | 共感型で、プロセスから話し、相手と感情を共有しようとする |
男女の視覚や聴覚も異なり、それが好みや感受性に影響する | 視覚に頼り、見た目や色彩に敏感である | 聴覚に頼り、音や声に敏感である |
ストレスに対する男女の反応も異なり、それが対処法やサポート方法に影響する | ストレスを感じると自分の時間を作ってリラックスしようとする | ストレスを感じると友人や家族と話して気分を晴らそうとする |
『成熟脳―脳の本番は56歳から始まる―』
人間の脳の一生は7年ごとに段階を経ていくという考え方を紹介しています。
年齢 | 脳の段階 | 脳の特徴 |
---|---|---|
0歳 | 赤ちゃん脳 | 生まれたての脳は感覚器官が未発達で、周囲の刺激に反応する |
1歳 | 感覚脳 | 五感が発達し、色や音、匂いなどに興味を持つ |
2歳 | 運動脳 | 運動神経が発達し、歩いたり走ったりすることが楽しい |
3歳 | 情緒脳 | 感情が豊かになり、喜怒哀楽を表現することができる |
4歳 | 創造脳 | 想像力が発達し、物語や絵を描くことができる |
5歳 | 論理脳 | 理解力が発達し、数字や文字に興味を持つ |
6歳 | 学習脳 | 記憶力が発達し、知識や技能を吸収することができる |
7歳 | 社会性脳 | 他者との関係性が発達し、友達や家族とのコミュニケーションを楽しむ |
8歳 | 言語脳 | 言語を使って思考する能力が高まる |
9歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を表現する能力が高まる |
10歳 | 自立脳 | 自分で決断し、責任を持つ能力が高まる |
11歳 | 子ども脳 | 思春期の前兆として、気分や体調に変化が出る |
12歳 | 子ども脳 | 思春期の始まりとして、性別による違いが顕著になる |
13歳 | 子ども脳 | 思春期の真っ只中として、反抗心や自己主張が強くなる |
14歳 | 子ども脳 | 思春期の終わりとして、自分探しや将来の夢に向かって動き出す |
15歳 | 大人脳 | 大人への移行期として、自分の価値観や目標を見つける |
16歳 | 大人脳 | 大人への準備期として、社会や世界に関心を持つ |
17歳 | 大人脳 | 大人への挑戦期として、自分の能力や可能性を試す |
18歳 | 大人脳 | 大人への到達期として、自分の立場や役割を確立する |
19歳 | 大人脳 | 大人への定着期として、自分の生き方や信念を固める |
20歳 | 知識脳 | あらゆる知識や感覚を得て、ピークを迎える |
21歳 | 知識脳 | 自分の専門分野や興味関心に深く没頭できる |
22歳 | 知識脳 | 自分の知識や感覚を他者と共有することができる |
23歳 | 知識脳 | 自分の知識や感覚を活用して問題を解決することができる |
24歳 | 知識脳 | 自分の知識や感覚を発展させて新しいものを創造することができる |
25歳 | 知識脳 | 自分の知識や感覚を見直して修正することができる |
26歳 | 知識脳 | 自分の知識や感覚を伝えて教えることができる |
27歳 | 知識脳 | 自分の知識や感覚を広げて多様なものに触れることができる |
28歳 | 知識脳 | 自分の知識や感覚を確信して自信を持つことができる |
29歳 | 社会性脳 | 他者と協力し、共感する能力が高まる |
30歳 | 社会性脳 | 他者との関係性を築くことができる |
31歳 | 社会性脳 | 他者との対話や交流を楽しむことができる |
32歳 | 社会性脳 | 他者との協調や協力を求めることができる |
33歳 | 社会性脳 | 他者との競争や挑戦を受け入れることができる |
34歳 | 社会性脳 | 他者との違いや多様性を認めることができる |
35歳 | 社会性脳 | 他者との共通点や共通目標を見つけることができる |
36歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を表現する能力が高まる |
37歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を言語化することができる |
38歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を行動化することができる |
39歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を創造化することができる |
40歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を伝達化することができる |
41歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を発展化することができる |
42歳 | 自己表現脳 | 自分の考えや感情を確信化することができる |
43歳 | 更年期脳 | ホルモンバランスの変化により、気分や体調に影響が出る |
44歳 | 更年期脳 | ホルモンバランスの変化により、自分の価値観や生き方に疑問を持つ |
45歳 | 更年期脳 | ホルモンバランスの変化により、自分の能力や可能性に不安を感じる |
46歳 | 更年期脳 | ホルモンバランスの変化により、自分の立場や役割に不満を抱く |
47歳 | 更年期脳 | ホルモンバランスの変化により、自分の生き方や信念に挑戦する |
48歳 | 更年期脳 | ホルモンバランスの変化により、自分の価値観や生き方に見直しをする |
49歳 | 更年期脳 | ホルモンバランスの変化により、自分の能力や可能性に再発見をする |
50歳 | 成熟脳 | 物事の優先順位が見えてくる時期 |
51歳 | 成熟脳 | 物事の本質や重要性が見えてくる |
52歳 | 成熟脳 | 物事の選択や判断が容易になる |
53歳 | 成熟脳 | 物事の整理や整頓が上手になる |
54歳 | 成熟脳 | 物事の計画や実行が効率的になる |
55歳 | 成熟脳 | 物事の評価や反省が客観的になる |
56歳 | 成熟脳 | 物事の優先順位が確信して自信を持つことができる |
57歳 | 真の成熟脳 | 自分らしさを発揮できる時期 |
58歳 | 真の成熟脳 | 自分らしさを認識できる |
59歳 | 真の成熟脳 | 自分らしさを表現できる |
60歳 | 真の成熟脳 | 自分らしさを活用できる |
61歳 | 真の成熟脳 | 自分らしさを創造できる |
62歳 | 真の成熟脳 | 自分らしさを伝達できる |
63歳 | 真の成熟脳 | 自分らしさを確信できる |
64歳 | 老化脳 | 記憶力や判断力が低下するが、経験や知恵を活かすことができる |
65歳 | 老化脳 | 記憶力や判断力が低下するが、感性や直感を活かすことができる |
66歳 | 老化脳 | 記憶力や判断力が低下するが、思いやりや優しさを活かすことができる |
67歳 | 老化脳 | 記憶力や判断力が低下するが、楽しみや笑顔を活かすことができる |
68歳 | 老化脳 | 記憶力や判断力が低下するが、教えや伝承を活かすことができる |
69歳 | 老化脳 | 記憶力や判断力が低下するが、感謝や祈りを活かすことができる |
『ことばのトリセツ』
語感に着目した新しいコミュニケーション術の本
語感とは、ことばの音によって感じるイメージや印象のことで、意味だけではなく、話し方や聞き方にも影響を与えます。
本書では、語感の正体や法則を脳科学的に解説し、男女関係、職場の上下関係、ネーミングなど、あらゆる場で役立つことばづかいの極意を紹介しています。
例えば、「感謝します」と「ありがとう」、「はい」と「ええ」など、同じ意味でも届く気持ちは語感でまったく変わります。
また、「さぁ、帰ろう」「そろそろだね」などのS音は爽やかな印象を与えますが、デートの最後にはNGです。包み込む音オを使った「送るよ」「おやすみを言わなきゃね」などを使ったほうが効果的です。
さらに、「ポルシェ」のP音は光を、「ひかり」は圧倒的なスピード感を、「のぞみ」は居心地の良さを感じさせるなど、名前の「音」がもたらす影響や効果も論じています。
認知心理学「ブーバ・キキ効果」とは、言語音と図形の視覚的印象との連想について一般的に見られる関係をいう心理学の現象です。
例えば、以下のような図形を見せて、どちらがブーバでどちらがキキかと聞くと、ほとんどの人は左の図形がキキで右の図形がブーバだと答えます。
この結果は、言語や文化に関係なく、ほぼ普遍的に見られるとされています。
この効果の原因としては、音と形に感覚的な対応関係があるという仮説があります。
例えば、「ブーバ」という音は、唇を丸めて発音する円唇母音や唇音を含んでおり、丸い曲線と相性が良いと感じられます。
一方、「キキ」という音は、舌を尖らせて発音する非円唇母音や非唇音を含んでおり、ギザギザした直線と相性が良いと感じられます。
このように、音の発音方法や響き方が、形の特徴や印象に影響を与えると考えられます。
この効果は、擬態語やネーミングなどにも応用されています。
例えば、「ふわふわ」や「もこもこ」という擬態語は、柔らかくて丸いものを表現するのに適しています。
また、「ポルシェ」や「ヒカリ」などの名前は、光や速さを連想させるのに適しています。
このように、「ブーバ・キキ効果」は、音と形の間にある不思議な関係を示す心理学的な現象です。
NHK R1「らじるラボ」「ふんわり」放送内容紹介
「いほこの引き出し」の放送内容を簡単に紹介します。
黒川伊保子さんは、金曜日の8時30分から12時まで、NHKラジオ第一で「ふんわり」(旧「らじるラボ」)という番組のMCを務めています。2022年10月から始まり、2023年4月現在までに、黒川さんの60冊を超える著書の中から様々なテーマを取り上げてます。
2022年10月
2022年10月 | テーマ |
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7日 | 人工知能研究者・黒川伊保子さんのインタビュー |
14日 | 「女性は質問にちゃんと答えない、という誤解」 |
21日 | 「夫をたてれば、息子の成績が上がる法則」 |
28日 | 著書「職場のトリセツ」から 「なぜ上司は分かってくれないのか?」 |
女性は質問にちゃんと答えない、という誤解(2022年10月14日放送)
- 女性は質問に答えるときに、相手の感情や立場を考えて、直接的な答えを避けることが多い
- 男性は質問に答えるときに、事実や論理を重視して、直接的な答えを求めることが多い
- 男女のコミュニケーションスタイルが異なるために、すれ違いが起こりやすい
- 解決方法としては、女性は質問に答える前に、相手が何を知りたいのかを確認することや、自分の意見や感情をはっきり伝えることが大切
- 男性は女性の言葉の裏にあるニュアンスや感情を読み取ろうとすることや、自分の質問の目的や意図を明確にすることが必要
夫をたてれば、息子の成績が上がる法則(2022年10月21日放送)
- 夫をたてると息子の成績が上がるのは、男性脳はお父さんに憧れて目標にすることが多いからです。
- 夫をたてるには、夫の長所や成功を認めて褒めたり、感謝したりすることが効果的です。
なぜ上司は分かってくれないのか?(2022年10月28日放送)
- 上司は分かってくれないと感じるのは、自分の考えや感情や要望だけを伝えて、上司の立場や状況やニーズに配慮しないからです。
- 上司に分かってもらうには、上司が何を考えているか、何に困っているか、何を望んでいるかを推測して、それに応えるように伝えることが大切です。
- 上司とのコミュニケーションのコツは、「ピーターの法則」を理解して、上司に期待しすぎないことや、上司の長所や成功を認めて褒めることや、自分が一生懸命やる必要はないことを気づくことです。
2022年11月
2022年11月 | テーマ |
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4日 | 著書「ことばのトリセツ」から 「語感の正体」 |
11日 | 最新刊「夫婦のトリセツ」から 「妻語を学ぶ」 |
語感の正体(2022年11月4日放送)
- 語感とは、言葉が持つイメージや印象のことで、音や形や意味などによって作られることです。
- 語感を使うのは、相手の感情や記憶に訴えかけて、伝えたいメッセージを強化するためです。
- 語感に気を付けるのは、自分や相手の発信力や魅力を高めたり、コミュニケーションをスムーズにしたりするためです。
妻語を学ぶ(2022年11月11日放送)
- 妻語とは、女性が使う言葉で、直接的な意味以外にも間接的な意味や感情的なニュアンスを含んでいることです。
- 妻語を使うのは、自分の気持ちや考えを話して相手と心を通わせたり、自分自身を整理したりしたいからです。
- 妻語に対しては、相槌や共感表現を使って相手の話に興味や理解を示したり、期待や要求に応えたりすることが効果的です。
2022年12月
2022年12月 | ゲスト | テーマ |
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9日 | 著書「女女問題のトリセツ」から 「女がマウントし合う理由」 | |
16日 | 食育インストラクター・和田明日香さん | 料理が脳に与える影響 |
23日 | 著書「成熟脳 脳の本番は56歳から始まる」より 「成熟脳」 |
女がマウントし合う理由(2022年12月9日放送)
- 女がマウントし合うのは、自分の価値を他者と比べることで確かめようとすることです。
- マウントし合うのは、相手にも自分にも良くないことで、ストレスや人間関係の悪化につながります。
- マウントし合わないためには、自分や相手の長所や強みを見つけて認めることや、マウントされた時は冷静に対処することが大切です。
料理が脳に与える影響(2022年12月16日放送)
料理家の和田明日香さんをゲストに迎えて、「脳と料理の関係」について語り合いました。
- おいしいと感じるのは、食べ物の味や風味だけでなく、脳が作る予測や期待にも影響されることです。
- 料理をするのは、脳のさまざまな機能を使うことで、脳を活性化や若返りさせることができることです。
- 誰かと食べ物を分かち合うのは、脳から愛情や信頼を増すホルモンが出て、絆を深めることができることです。
成熟脳(2022年12月23日放送)
人間の脳の一生は面白いほど7年ごとに段階を経ていくということや、56歳から始まる脳の最高潮期について紹介しました。
- 成熟脳とは、人生の中で最も脳が活性化する時期のことで、56歳から始まります。
- 成熟脳は、感性と理性が調和し、自分や他者を深く理解できる脳です。
- 成熟脳になるには、新しいことに挑戦したり、楽観的になったり、コミュニケーションを取ったりすることが大切です。
- 成熟脳になると、自分らしく生きたり、他者と良好な関係を築いたり、社会に貢献したりすることができます。
2023年1月
2023年1月 | ゲスト | テーマ |
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6日 | ヴァイオリン奏者・古澤巖さん | 「音楽と脳」 |
13日 | 著書「人間のトリセツ」より 「人工知能への4つの質問」 | |
20日 | 著書「母脳~母と子のための脳科学」より 「母脳」 |
音楽と脳(2023年1月6日放送)
ヴァイオリン奏者の古澤巖さんをゲストに迎えて、「音楽と脳」について語り合いました。
- 音楽を聴いたり演奏したりするときに、脳でどんなことが起こっているのか
音楽は、脳のさまざまな部位を活性化させます。聴覚野や運動野はもちろん、感情や記憶に関係する部位も刺激されます。
また、音楽は左右の脳半球の連携を促進します。音楽には言語的な要素や数学的な要素が含まれており、左脳と右脳の両方が働きます。 - 音楽は脳にどんな影響を与えているのか
音楽は、脳の機能や状態にさまざまな影響を与えます。
例えば、音楽はストレスや不安を和らげたり、気分を高めたりします。音楽は血圧や心拍数などの自律神経系にも作用します。
また、音楽は記憶力や学習能力を向上させたり、認知症の予防や改善にも効果があると言われています。
人工知能への4つの質問(2023年1月13日放送)
2023年2月
2023年2月 | ゲスト | テーマ |
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3日 | 著書「娘のトリセツ」より 「娘を一人前に育てるには“妻”を大切にすること」 | |
10日 | 元陸上選手・為末大さん | 「スポーツと脳の関係」 |
17日 | 著書「ことばのトリセツ」より 「情のことば 知のことば」 | |
24日 | 著書「英雄の書」より 「自尊心の章」 |
娘を一人前に育てるには“妻”を大切にすること(2023年2月3日放送)
- 娘を一人前に育てるには、父親が母親を大切にすることが重要である。
- 父親が母親を大切にすることで、娘は「自分が一番ではないこと」や「両親が仲よしであること」を知り、自我の肥大や依存を防ぐことができる。
- 父親は、娘を無条件で愛し、自分らしさを尊重し、成果ではなく存在そのものを認めることで、娘の自尊心や自立心を育てることができる。
- 父親は、娘の成長過程で、適度な距離感や関わり方を見極めることも大切である。
スポーツと脳の関係(2023年2月10日放送)
ゲストに元陸上選手の為末大さんを迎えて、アスリートがゾーンに入るときの脳の働きや感覚について語り合いました。
- ゾーンとは、右脳と左脳の連携信号をできるだけ断った状態で、小脳が自分の動きをパッケージ化して純粋に生かすことができる状態。
- ゾーンに入ると、時間感覚が変わったり、体の外との境界があいまいになったり、意識が自分の行動を追いかけるようになったりする。
- ゾーンに入った経験は人生に3回ぐらいで、為末さんは2001年の世界陸上や2008年の日本選手権などで感じたという。
情のことば 知のことば(2023年2月17日放送)
- 情のことばとは、感情や気持ちを表現することばで、相手に寄り添ったり、共感したりする効果がある。
- 知のことばとは、事実や理論を伝えることばで、相手に説明したり、納得させたりする効果がある。
- 情のことばと知のことばは、場面や相手に応じて使い分けることが大切である。
- 情のことばと知のことばは、バランスよく組み合わせることで、コミュニケーションの質を高めることができる。
自尊心の章(2023年2月24日放送)
- 自尊心とは、自分自身を尊重し、自分の価値を認めることである。
- 自尊心は、幼少期の親子関係や社会的な経験によって形成される。
- 自尊心は、自分の能力や成果に依存する外的な自尊心と、自分の存在そのものに基づく内的な自尊心に分けられる。
- 自尊心は、自分の感情や欲求を素直に表現することや、自分の長所や短所を受け入れることで高めることができる。
2023年3月
2023年3月 | ゲスト | テーマ |
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3日 | 著書「母のトリセツ」より 「母親に巻き込まれないためのノウハウ」 | |
10日 | 著書「恋のトリセツ」より 「男女の絆のつくり方」 | |
17日 | ファッションプロデューサー・MBさん | 「ファッションと脳の関係」 |
母親に巻き込まれないためのノウハウ(2023年3月3日放送)
- 母親に巻き込まれないためには、母親のタイプや心理を理解し、自分の境界線を守ることが大切である。
- 母親に巻き込まれやすいタイプは、母親に依存しているタイプと、母親に反発しているタイプである。
- 母親に巻き込まれないための具体的な方法は、母親の話を聞くときは共感するだけでなく、自分の意見も伝えることや、母親の要求に応じるときは自分の条件も提示することなどである。
男女の絆のつくり方(2023年3月10日放送)
- 男女の絆のつくり方は、相手のタイプや心理を理解し、自分の気持ちやニーズを伝えることが大切である。
- 男女の絆は、恋愛には賞味期限があることを認め、新鮮さや驚きを持ち続けることで強化できる。
- 男女の絆は、相手に依存したり、反発したりするのではなく、対等で協力的な関係を築くことで深まる。
ファッションと脳の関係(2023年3月17日放送)
ゲストにファッションプロデューサーのMBさんを迎えて、ファッションが心や気持ちに与える影響や効果について語り合いました。
- ファッションは自己表現だけでなく、自己肯定感や自信、気分転換などにも役立つものである。
- ファッションは脳の活性化や記憶力の向上にも寄与する。色や形、素材などを選ぶことで、脳の創造力や判断力が高まるという。
- ファッションは社会的なコミュニケーションにも重要な役割を果たす。自分の好みや価値観を表現することで、他者との共感や信頼を築くことができるという。
放送終了間際に興味深い話題が出たので、続きが気になる。

4月から番組名が「ふんわり」に変更。
「いほこの引き出し」は9時台になりました。
2023年4月
2023年4月 | ゲスト | テーマ |
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7日 | 料理愛好家・平野レミさん | |
14日 | ファッションプロデューサー・MBさん | |
21日 | 「人間のトリセツ」より 「人工知能にもジェンダー問題がある」 | |
28日 | 「60歳のトリセツ」より 「『若さを気にする』をすてる」 |
ファッションと脳の関係(2023年4月14日放送)
ファッションロジカル×脳ロジカル
- 「ブレインサイクル」
人間は7年ごとに転機を迎えるし、世の中の流行も7の倍数年で変化する。例えば、車の形やウエディングドレスのデザインなどは、(7×4=)28年や(7×8=)56年で一巡りしている。これは、人間の脳の働きや感性の周期と関係している。人間の脳には7年周期の定めがある。 - 男性脳は定番を好む。空間認知力が優れている。そのため、些細な変化で感覚が狂うことを避ける傾向にある。戦略力を使う人や、とっさに身体を使う人に多い特徴。
- 女性脳は意外性や新しいものを好む。優秀な遺伝子を残すため想定外の遺伝子を探している。
人工知能にもジェンダー問題がある(2023年4月21日放送)
- 人工知能=自己学習型プログラム
- 若い女性の声=人に逆らわない召使型、男性の声=スペシャリスト型であることにジェンダー問題がある。
- 会社というのは、出来る2割が8割の仕事をし、出来ない8割が残りの2割をやっている(82の法則)
- 問題解決型の回路(脳)には、ロジックで訴える(可視化した問題定義が必要)
- 共感型の回路には、感情で訴える
- 8~12歳の脳はゴールデンエイジ。昼間の経験と睡眠が大事。読書適齢期。
- 男の子はゴール思考。定番が必要。
- 女の子はプロセス思考。達成感が必要。臨機応変に今の気分を大切にする。
- 学校に行く前後は好きなことをさせると良い。
人工知能を開発する場合に守ってほしいジェンダーに関わる三か条
- 人工知能に女性を彷彿とさせる声やビジュアルを持たせる場合には、共感型(女同士の会話が成立する)機能を配慮すること。
- 一般的なセクシャルハラスメントの制約を守ること。
- 人の言うことに逆らわないサーヴァント型には性を持たせないこと。年齢性別人種を感じさせないニュートラルボイスを開発しなければならない。
ChatGPT=世論を正論に変えて真しやかに語る語り屋
- 日本語は苦手、英語が得意。
- 人間の心の機微は理解できない。人間なしには活用できない。
- 教える人間次第。だから、オープンAIは信用できない。
『若さを気にする』をすてる(2023年4月28日放送)
- 脳をスイッチングする
- 他人の評価を気にせず、自分の感性を大切にする
- エストロゲンは十代半ばに一番分泌される
- 酸素=有機物を老化させる
- 脳の気付きの力は60代が最高潮
- 母語の世界観を大切にする。理系の力とリンクする
- 8歳までに言語脳が完成する
- 15歳までは大人脳ではない
- 先手(計画的、心配性)、後手(行き当たりばったり、前向き)の性格は一生変わらない
- 先手タイプが後手タイプにイラつく時は、提言するのではなく、サポーター(ファン)として応援に徹する
- 本当の成熟脳63歳(7×9)


まとめ
人間の感性や脳に影響を与える「ことば」の魅力について、人工知能や脳科学の最新の知見をもとに語るのが黒川伊保子さんです。著書やラジオで、私たちが日常的に抱える人間関係やコミュニケーションの悩みに対して、脳の仕組みを分かりやすく解説し、具体的な対処法を提案しています。自分だけでなく相手の視点も考えることができる俯瞰力を身につけるためのヒントを教えてくれます。




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