寺院参拝の作法
山門の作法
山門をくぐると仏の国
寺院に到着し、山門の前では、合掌とともに一礼します。
- 脱帽し、衣服をきちんと整えるようにする。
- 手を合わせる際に、音を立ててはなりません。
- 山門をくぐる際、敷居を踏んではなりません。
- 中に入ったら道の端を歩くようにする。
また、女性は右足から、男性は左足からというように、性別によって入る足が異なるといわれる場合もあります。
寺院の入り口にある三門(山門)は、俗世と仏教の世界を分けている境界線。
禅宗寺院の七堂伽藍(がらん)の一つで、寺院の正式な入口。古くは寺の南と東西に面して三つ、あるいは参道に沿って三つ設けられたところから三門と書かれた。また一つの門でも、空(くう)、無相(むそう)、無作(むさ)の三解脱門(さんげだつもん)の意味で三門とされた。三門が山門と書かれるのは、寺の多くが山に建立されたことによる。一般に二階造りの楼門で、入口の左右に金剛力士(こんごうりきし)の像、あるいは四天王像を祀(まつ)り、楼上には十六羅漢(らかん)像を祀る。
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
手水の作法
参拝の前に心身を清めます。
手水舎にて手水を使い、手口を洗いましょう。
- まず、手水舎の前で一礼を捧げる。
- 柄杓を右手で取り、水を掬(すく)う。
- その手水を左手にかけて清める。
- 柄杓を左手に持ち替え、右手を洗い清める。
- 柄杓を再度右手に持ち替え、掬った手水を左手に受けて溜め、この手水を口に含む。口が直に柄杓に触れないようにする。
- 音を立てずに口をゆすいで清め、そっと吐き出す。
- 手水を入れた柄杓を立て、柄に手水を流すようにして使った柄杓を洗い清める。柄杓を洗うのには次の人のための配慮という意味合いもある。
- 洗い終わった柄杓は元の位置に静かに伏せて置き、最後に口と手を拭紙やハンカチなどで拭う。
- 最後にもう一度、一礼を捧げる。
- これらの作法は一連の動作で行うのが好ましい。
鐘楼の作法
鐘の音は「これからお参りをさせていただきます」という仏様への挨拶です。
もし鐘をついても構わない寺院であれば、ぜひ鐘をついてみましょう。
境内から出る時に鐘をつくと「出鐘」と言い、亡くなった人を送る時につく、出棺時の鐘になります。
また 「出る金」 に掛けて、お金を失うことに繋がるとも言われます。
縁起が悪いので、出るときではなく、これからお参りするタイミングで鐘をつきましょう。
寺院の鐘は、元々は、時刻を知らせる目的で使われていました。
僧侶に起床時間や就寝時間、集合時間など、鐘を鳴らして知らせるのです。
現代でも朝夕方6時と正午に寺院の鐘の音が聞こえてくる地域もあります。
地域の人々へ時刻を知らせる音として親しまれています。
ですので、参拝する方が鐘をついても良いお寺とそうではないお寺があります。
ご注意ください。
常香炉の作法
常香炉(じょうこうろ)があればお線香を供え、煙を受けて心身を清めます。
線香の火は口で吹き消すのではなく、手で風を送って消しましょう。
常香炉は、仏様にお香を供え、その煙を浴びることで心身を清める場です。
体の悪い所に煙をつけると治るとも言われています。
本堂参拝の作法
寺院の本堂入り口付近には賽銭箱が置かれています。
- 賽銭を入れる。
- 鰐口(鈴)を鳴らす。
- 合掌して一礼する。
寺院では拍手を打ちませんので、ご注意ください。
また、阿弥陀如来をご本尊とする浄土宗のお寺では、手を合わせて一礼してから「南無阿弥陀仏」と10回となえて一礼します。
寺院でのお賽銭は「ここに自分の欲を捨てさせていただきます。どうか良い方向にお導きください」という気持ちで行うものです。お賽銭は「布施行」と考えましょう。
布施行とは「欲を捨てる行い(財施・法施・無畏施)」
布施は「布を施(ほどこ)す」行為が元となっています。
布施は悟りに至るための修行の一つです。
布施(ふせ)は仏教においては、全ての宗派において主要な実践項目のひとつである。六波羅蜜のひとつでもある。
大智度論など、伝統的には、次のような種類が挙げられている。
その他に、雑宝蔵経に説かれる財物を損なわない七つの布施として、次の行いが説かれる。布施波羅蜜では「無財の七施」という。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
- 眼施:好ましい眼差しで見る。
- 和顔施(和顔悦色施):笑顔を見せること。
- 言辞施:粗暴でない、柔らかい言葉遣いをすること。
- 身施:立って迎えて礼拝する。身体奉仕。
- 心施:和と善の心で、深い供養を行うこと。相手に共振できる柔らかな心。
- 床座施:座る場所を譲ること
- 房舍施:家屋の中で自由に、行・来・座・臥を得させること。宿を提供すること。
塗香
粉末状のお香です。
本尊に供えたり、修行者が身体に塗ったりして身を清め、邪気を近づけないために用います。
私は、塗香入れをお守りとして持ち歩いています。お守りですので、人には触れさせません。
- 粉を塗るのが塗香です。粉が皮膚・髪・服に付きます。
- 塗香は、練り香ではありません。
塗香の使い方
1回の使用量は軽くひとつまみ(一振り)程度です。
塗香は、手のひらや手首ですり合わせ、頭、肩、腕などになでつけます。
また、ワセリンに混ぜ、練り香を作ります。
数珠・念珠
「数珠・念珠」は厄除け、お守りとしての役割も担っています。
略式の数珠は『片手(かたて)数珠』や『一輪(ひとわ)数珠』といわれ、すべての宗派でお使いいただけます。
納経・御朱印
お参りが済みましたら、お写経をお持ちの方、札所巡拝の方はお写経を納め納経受領印を受けます。
一般参詣の方は参拝の証として御朱印をお受け下さい。
納経帳・御朱印帳は参拝された寺院オリジナル集印帳をお求めになることをお勧めします。
寺院参拝の心得
- 肌の露出を控えた服装で参拝しましょう。
- 境内では、静かに過ごしましょう。
- 柏手を打ってはなりません。
- 敷居を踏んではなりません。
寺院
寺院は昔、役所のような役割を果たしていました。
寺請制度は現在の住民票。邪宗門とされたキリスト教や不受不施派の発見や締め出しを狙った制度でしたが、宗門人別改帳など住民調査の一端も担いました。
「寺子屋」は、寺院で行われていた師弟教育から始まったことに由来しています。この寺子屋が江戸時代の人々の高い識字率を支えていたのです。
仏教
「仏教」は明治時代に始まる新しい呼称です。江戸末期までは「仏法」「仏道」と呼ばれていました。
除夜の鐘
12月31日の除夜(大晦日の夜)に、寺院の梵鐘を撞(つ)くのは日本の風物詩。
「除夜の鐘」の起源は中国の宋代の禅宗寺院の習慣に由来するとされています。日本でも禅寺で鎌倉時代以降にこれに倣って朝夕に鐘が撞かれ始めました。大晦日から元旦にかけての除夜に欠かせない行事になったのは室町時代から。禅寺では年の変わり目に鬼門(北東方向)からの邪気を払うために行われていたとされています。
- 人間の煩悩の数とする説
- 眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)の六根のそれぞれに好(こう:気持ちが好い)・悪(あく:気持ちが悪い)・平(へい:どうでもよい)があって18類、この18類それぞれに浄(じょう)・染(せん:きたない)の2類があって36類、この36類を前世・今世・来世の三世に配当して108となる。
- 四苦八苦とする説
- 四九(36)と八九(72)を足したもの。
- 1年間を表すとする説
- 月の数の12、二十四節気の数の24、七十二候の数の72を足した数が108となる。
鐘を撞く前には鐘に向かって合掌する。
鐘を撞く時間帯に関しては年を跨いで鐘を撞く寺院と年明け午前零時から撞き始める寺院がある。
- 年を跨いで鐘を撞く寺院 – 撞き始めの時刻は23時00分、23時30分、23時45分など様々。108回撞く寺院においては、108回のうち107回は旧年(12月31日)のうちに撞き、残りの1回を新年(1月1日)に撞くとする寺院もある。
- 年明け午前零時から撞き始める寺院 – 増上寺、浅草寺、成田山新勝寺など。
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